2021/03/13 不適切修理事例(スタッド鈑金の弊害)
- この事例の修理店:
- 有限会社 オートリペア・川口
〒333-0842 埼玉県川口市前川3-7-7
TEL: 048-265-4600
ドアパンチの被害事故で入庫した車両です。フロントドア後部、黄色い四角で囲ってあるところが今回の損傷です。きれいに仕上げるためには塗装時はパネル一枚全面塗装します。その際に付属している部品はなるべく取り外して塗装した方が、綺麗に仕上がります。もちろん、その分手間はかかりますので高くなりますが、安く仕上げたい場合部品を外さずにマスキングで覆い、塗装する事も可能です。しかしその場合、後々塗装剥がれなどのリスクが高まります。
このお車、ドアを開けたらフチがサビていました。嫌な予感がしました。
フロントドアを分解しました。内張りを取り、サービスホールカバー(ビニールシート)をめくると、ドア内部が見えます。
すると・・・!!錆の原因が分かりました。下の四角の穴の中に見える茶色いものは、全部錆です。ひどいことになっています。
錆の部分を拡大してみました。中央に斜めに走っている丸いパイプは、インパクトビームと言ってドアの強度を保っている物です。丸い点が全て錆で、焼け焦げた跡です。この原因は、鈑金修理する際にハンマーとドリー(当て板)を使って叩いて治す工法の他に、スタッド鈑金(スタッド溶接)と言って、へこんでいる部分にワッシャ―(丸い金属の輪)を高電圧で溶着(溶接)し、それを引っ張って鉄板を引き出してくる工法があります。この工法で鈑金した場合、高電圧をかけて鉄を瞬間的に溶かすので塗膜が焼け鉄板がむき出しになります。ドアには雨水が入りますので、焼けた跡の処理をしないと、このように必ず錆びます。
フロントドアの修理歴をみると、リアドアも一緒に修理していそうでしたので、内張りを外して内部を確認すると・・・案の定ありました。こちらも錆だらけです。このまま放置しておけば、錆がさらに鉄板を侵食し最終的にはドアに穴が開きます。表面はパテを付けてから塗装をし、綺麗に仕上がっているように見えますが、土台が悪ければ元から崩れます。家と同じですね。
このお客様の場合、以前の修理はディーラーと大手カー用品チェーン店で見積もりを取ったところ、カー用品店の方が安かったのでそちらに依頼されたと言う事です。しかし、見積り時に特別に安く依頼したり値切ったりしたわけではありません。
きっとそのお店ではドア分解をせずに鈑金・塗装修理を終わらせた結果、中を見る機会が無く処理をし忘れたのでしょう。もしくは、そもそもそういう知識がなかったのかもしれません。
錆の範囲が広く、またここまで進行していると治すのは難しく、完全に修理するためにはドアを交換するしか方法がありません。
このお客様の場合、そこまでのお金を掛けられない為、ご相談の上少しでも錆の進行を遅らせるような処置をさせて頂きました。
全てとは言いませんが、安い見積と高い見積があった場合に、安い方を取るとこのように結局また最初からやり直さなければならず、2回分の修理代を掛けないと元通りには治らないという状況になりかねません。
修理見積もりをとった場合には見た目の金額だけにとらわれず、なぜ安いのか?どこの予算を削減しているのか?それによるリスクは?等をしっかり聞きましょう。
ジコプロネット加盟店は信頼の品質に加え、丁寧な修理説明、ご予算に応じた修理方法をご提案できます。
で修理工場をお探しの方はお近くのジコプロ加盟店までお気軽にご相談下さい。
川口市・蕨市・戸田市・さいたま市・草加市・越谷市など、埼玉県南部で修理工場をお探しの方は、是非オートリペア川口までご相談ください。